パニック障害とはかぎらない
パニック発作があるから自分はパニック障害なのかもしれない、と思うことはよくあります。発作と障害を一緒であると考えている人もいます。けれども、パニック発作は他の様々な疾患でも起こる症状です。パニック発作があると誰でもパニック障害というわけではありません。
パニック障害とは
パニック障害は疾患の名前で診断名です。パニック発作は症状で、咳や熱などと同じ、症状の名前です。
パニック障害の特徴
予期しない発作が理由なく突然にどこででもパニック発作が起こり、繰り返し発作が起こり、生活が困難になる
パニック障害では、原因のはっきりしない、予期できない発作が繰り返されて生活に困難が生じます。寝ている時に起こったり、仕事中や食事中など、なんでもない状況で起こったり、いつ起こるのか本人にも分からりません。つねに警戒することになり、普通の生活を送ることが難しくなってきます。
パニック発作が起こる他の疾患
パニック発作が起こる他の不安障害(パニック障害と同じグループ)に、何かに対する恐怖症や社交不安障害などがあります。
恐怖症
特定の対象にかかわった時に強い恐怖や発作が生じる、広場恐怖症、高所恐怖症、閉所恐怖症など
狭いところや閉鎖的な状況で恐怖やパニックが起こる場合は閉所恐怖症、高いところで起きる場合は高所恐怖症、公共の場で起こる場合は広場恐怖症という風に、その人によって恐怖の対象は違います。特定の決まったパターンで恐怖があり、その場面や状況でパニック発作が起こります。また、始めは何かに対しての恐怖症だったのが、だんだんと悪化し他の場面でも発作が起こるようになり、パニック障害になっていく、ということもあります。
社交不安障害
人付き合いや、人前でのパフォーマンス、プレゼンや、人が集まる場などで主に発作が起こる
人前でスピーチしたり発表しなくてはならない状況や、人と話したり、飲み会やパーティなど社交的な場面、人に見られたり評価される状況でパニックが起こる場合は社交不安障害、社交恐怖症である可能性があります。
他の精神疾患
強迫性障害、PTSD、分離不安障害、うつ病など
PTSDでも過去のトラウマが思い出されてパニックが起きることがあります。また強迫性障害で病的にこだわる状態で不安が強くなった時にパニック発作が起こることがあったり、うつ病でも起こることがあります。
パニック発作と似た症状が生じる身体の病気
低血糖、貧血、不整脈、甲状腺機能亢進症、ホルモンバランスの乱れ、自律神経失調症、更年期障害など
自律神経失調症や更年期障害の症状としてパニック発作のような症状が起こることがあります。女性の場合、ホルモンバランスの乱れや更年期で動悸・息切れが起こったり、過呼吸になったりと、とても似た症状が起こります。女性は40歳前後あたりから更年期に向けてホルモンバランスが変わります。メンタルが原因と思っていたらホルモンバランスが原因だった、という事もよくあります。
体全体の調子を観察しながら、必要な場合は専門機関を受診しましょう。